恩納村は、沖縄島中央部西海岸に位置する人口約1万名の村で、
恩納村海域は、全域が沖縄海岸国定公園に指定されています。
太モズク、糸モズク、海ぶどうなどの
海藻養殖が盛んです。
海藻養殖のあゆみ
昭和45年 | 恩納村漁協設立 | ![]() |
昭和52年5月 | 太モズク初収穫(県内初、18トン) | |
昭和61年度 | 糸モズク取り扱い再開(9トン) | |
平成元年度 | 海ぶどう陸上養殖試験開始(平成6年度より販売開始) | |
平成18年度 | 海ぶどう養殖で沖縄県の拠点産地に認定(水産第1号) | |
平成19年度 | 全国豊かな海づくり大会にて漁場保全で農林水産大臣賞受賞 | |
平成19年8月 | モズクの品種登録出願(恩納1号:恩納モズク) |
人の手が加わることで長年にわたって安定的な生態系を保持してきた森を「里山(さとやま)」と呼びます。
「里海(さとうみ)」も、手つかずの自然な海を保存するのではなく、人々が積極的に自然に関わることによって、守り続けられた豊かな海(水産資源・観光資源等)のことです。
恩納村漁協は、豊かな海の恩恵により地域の生活が成り立つという、「里海」の理解を広め「里海」づくりに努力をしてきました。
沖縄のサンゴ礁は、生物多様性の面でも水産資源管理の面でも生態系の要です。
しかしながら、
(1)埋立工事や降雨時の陸地からの赤土の流出
(2)オニヒトデ大発生による食害
(3)異常気象による海水温度上昇
などによりサンゴ礁は大きなダメージを受け、地域によっては約7割のサンゴが失われたとの報告もあります。
このような地域のサンゴ礁は自ら再生する力を失っているとも指摘されています。
恩納村では、恩納村漁協が中心となってこれらの環境ストレスから海を守るため、魚介類の採取規制という資源管理に加え、
(1)リゾートホテルの排水浄化基準の強化や生活排水の下水処理
(2)赤土流出防止策やオニヒトデの駆除などの漁場保全活動
などを生態系保全活動として長らく展開してきました。
そして、今はこれらの受身の活動から積極的に
(3)サンゴの植え付け事業の展開
をすることにより、サンゴ礁の再生を目指しています。
このような恩納村漁協の取り組みは、地域の関係団体の理解に広がっています。
「豊かな海」は漁業だけでなく、観光の資源など地域にとって大切な財産であり、健康な海の恩恵を受けてみんなの生活が支えられるという、共通認識に育っています。
人が自然にかかわることで、生物の生産性と多様性を高める「里海づくり」は安定的な漁業活動を支えるうえで非常に大切な事と言えます。
恩納村漁協は漁協活動(下図1〜4)を通じて沖縄の海の生態系を守っています。
モズクやサンゴ等の養殖が棲みかと豊かな食物を提供し、自然の生態系を守ることにもつながっているのです。
※サンゴ礁は、熱帯雨林と並んで、もっとも種の多様性と生産性が高い場所であると言われています。
恩納村漁協は、人間の生活と自然の共生を大きなテーマとし、海藻養殖や貝類の養殖など、自然にとって負担の少ない養殖事業に特化しています(これらの漁業活動も自然の生態系の一部となっています)。
モズクの養殖場
モズク等の養殖場はサンゴ礁に生きる幼魚や小さなエビ等の棲みかになり、自然の生態系を守ることにつながっています。
陸域からの栄養塩
陸域からの栄養塩は、川や地下水を通して海に供給されます。
モズクの苗床
モズクの苗床は陸からの栄養塩も得られる場所が選ばれています。
サンゴは生態系の要
サンゴを脅かす存在